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生命と栄養のブログ from 福山大学 生命栄養科学科

小麦色

いうまでもなく、毎日暑い日が続いています。 この暑さ、一体いつまで続くのでしょう。 

人工衛星からの観察によると、九州南部と四国地域で、植物の光合成が落ちているそうです。 この原因は、確か降雨量の減少だったような。

降雨量減少といえば、世界各国でも水不足が深刻です。 特にロシアは干ばつがひどく、小麦の輸出禁止措置が取られています。 小麦はもともと西アジアのような比較的乾燥した気候で育つ植物で、ロシアは世界有数の小麦輸出国です。 

そのロシアが禁輸となれば、輸出余力のある大国はアメリカだけになります。 そこで需給の引き締まりを見込んだ投資マネーが小麦相場にどっと流れ込み、小麦の国際価格が跳ね上がっています。 実はこのところ、アメリカは小麦の過剰在庫に悩んでいましたので、アメリカの小麦農家にとって今回の干ばつは天の慈雨となったことでしょう。

さて、そんなのんきなことを言っている場合ではありません。 小麦価格が上がると、パンや麺類など、多くの食品の値上がりが予想されます。 現時点では国際的に円が独歩高なので気になりませんが、もし管政権が首尾よく円安に誘導できれば(それはないか)、小麦価格の上昇がぐっと身にこたえます。

このようなことと関係があるのかないのか、米粉を使った食品が伸びています(総額はまだ微々たるもの)。 サンヨーが満を持して発売にこぎつけた新型高級ホームベーカリー「GOPAN」(何たるネーミング!)は、大型電気店から予想外の注文が来て供給体制が整わず、発売を1カ月ほど延期するそうです。 5万円もする家庭用パン焼き機がそんなに売れるとは驚きです。

この機種の売りは(家電芸人ならぬ、家電教員ぽくなってきた?)、米粉ではなく、お米を直接本体に入れるとパンが焼きあがるというものです。 米粉パンを焼かれる方はご存じだと思いますが、製パンに適した米粉や、パンをふっくら膨らませるグルテンというタンパク質はどこでも手に入るわけではありません。 そこでこの機種は、お米をそのまま入れて、パンが焼けることを売り物にしています。

さて、問題はここですよ。 お米を入れるとあら不思議、魔法のようにパンが焼けるというものではなく、技術的に見てかなり工夫の跡が見られます。 サンヨーの技術者の方は、ずいぶん苦労をして販売にこぎつけたなぁと感心します。 どこがそんなに感心したかというと、・・・うーん、とても長くなりますので、いつかどこかで、気が向いたら、授業ででも解説したいと思います。
小麦色_c0166720_13234355.jpg
アメリカの1セント硬貨(Penny)の裏には、小麦が描かれていました。 一方、日本の5円硬貨にはイネが描かれています(下のほうの写真を見てください)。
by seimei-eiyou | 2010-08-24 13:29 | その他