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生命と栄養のブログ from 福山大学 生命栄養科学科

廃棄弁当

廃棄弁当_c0166720_19192835.jpg先日テレビを見ていたら、“セブンイレブンがコンビニ弁当の廃棄費用の15%を出す。”というニュースが流れていました。

「これ、何の話?」と聞かれて答えられませんでしたので、ちょっと調べた内容を書いてみます。

私たちがコンビニで買っているお弁当は、コンビニ会社と契約した工場で作られ(私たちの学科の卒業生もコンビニ弁当を作っています)、コンビニ店舗に納品されます。 このお弁当には当然賞味期限があり、お弁当の目に付く所に貼り付けてあります。 

このお弁当、賞味期限が切れると店頭から撤去されますが、実際には賞味期限のかなり前に店頭から撤去されます。 作ってから時間が経つと(と言ってもそんなに経っていない)、お弁当は美味しく食べられる時間が短くなり、売れないからです。

一方スーパーでは、売れ残った野菜などを「おつとめ品」などとして安売りします。同じように、まだ十分食べられるお弁当を安売りすれば買う人もいるでしょうし、なにより捨ててしまうのはもったいない。 しかし、コンビニ店舗がお弁当を安売りすることはできないのです。 

ニュースで取り上げられていたのは、セブンイレブンジャパンが、このようなお弁当・お総菜の見切り(値引き)販売をしないようお店に圧力を掛けるのは不当だ、と公正取引委員会が判断したということのようです。

店頭から引き上げられたお弁当・お総菜は、お店がお金を出して廃棄しています。 当然お店としては廃棄費用がかかるので、見切り(値引き)販売したほうがマシです。 しかしセブンイレブンジャパンは、「見切り販売はまかりならぬ!」と言う。 こういった行為が、「独占禁止法の優越的地位の濫用に当たる。」という判断です。

これに対してセブンイレブンジャパンは、「廃棄費用の15%を持つので、見切り販売は我慢して。」というのに対して、お店としては「我々の気持ちが理解されていない。」とまだまだ溝はあるみたいです。

廃棄弁当_c0166720_19201340.jpgこのような法律上、経営上の問題とは別に、食品廃棄という問題も無視できません。 2006年の農林水産省の調査では、日本の食品廃棄量は年間1135万トンにも上り、その半数以上が、売れ残りや回収品といった未開封食品です。 ちょっと想像がつかない量の食品が廃棄されています。 

言うまでもなく、日本は食料輸入超大国で、今後国力が徐々に低下していく局面で国民に必要な食料が果たして買えるのか。 こんな状況の下、まだ食べられる食品を大量に廃棄していてもいいものか、と思ってしまいます。

この背景には、科学的根拠を超越した消費者性向というか、まだ食べられるものを平気で捨てても何とも思わなくなった国民性というか・・・あんまり書くと怒られそうです。

ちょっと筆(キーボード)が滑りました。 昔の人はみんな「食べ物を残すな!」って言ってましたね。 食の専門家として、安全・安心の裏に潜む危険にも目を向けないといけません。
by seimei-eiyou | 2009-06-25 19:24 | その他