2011年 08月 12日
答えのない問題
さて今年の前期は、生物工学科の4年生を対象とした講義を初めて受け持ちました。 生命倫理です。 私に人の道を教える資格がない事は重々承知していますが、他に適任者はいないのだそうです。 世の中どこも、人はいても人材不足です。
1)その現状を把握し
2)問題点をピックアップして
3)対応策を考え
4)その対応策の良い点、悪い点などを評価して
5)他のグループとディスカッションを行う
というプログラムを行いました。
まあ話は盛り上がらないだろうとの予想は全くの杞憂で、激しい議論の応酬となり、時間が足りないとクレームが出るほどでした。 意外ですね。 で、学生さんはどんなテーマを選んだか? 生物工学科だから、身近なところで遺伝子組み換え作物は出るな、原発問題も出るかもと思いましたが、全く出ません。 出たテーマを紹介すると、
・人の幸福とは何か?
・コミュニケーションの取れない人とどうやってコミュニケーションをとるか?
・日本は核武装すべきか?
・ソマリアの海賊行為は正義か?
他です。 うーん、予想外。
例えば人の幸福では、まず幸福の定義から始まり、激しいつっこみが入ります。 白板(上の写真)は「幸福」の条件です。
「愛があれば幸福?」 愛は非現実的、 愛は伝わりにくい。
「金があれば幸福?」 そんなに金があっても仕方が無い。 イメージが悪い。
「生きているだけで幸福?」 年寄りでもあるまいし、それほど実感がない。
うーん、かける言葉がない・・・ 確かに答えがない。
お金に困っているはずなのに、お金が一杯ありすぎる事を心配をしている。
コミュニケーションについては個人攻撃になり、核武装もやはり異論百出、ソマリアに至っては、なんでそんな問題をここで取り上げるのかという展開でした。
すっきり行ったのは、
「ユッケは食べない方がよいか?」(この頃、生肉の食中毒で死者が出ていた)という問題設定で、「食べない方がよい!」とあっさり片付いてしまいました。
まるで涼風のように。