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生命と栄養のブログ from 福山大学 生命栄養科学科

タイへん

11月上旬に予定されていた、タイで開催される国際学会が中止になり、この学会に参加を予定していた井ノ内先生の渡航も中止になりました。 井ノ内先生は、これで3回目の渡タイの中止です。 1回目はSARS(サーズ)、2回目は暴動・政情不安、そして3回目は今回。 よくよくタイとは縁がないのかも。 

学会中止の原因は、もちろん洪水です。 日本では考えにくいのですが、タイでは一度洪水になるとなかなか水が引きません。 「50年に一度」と言われるこの洪水。 始まったのは7月ですので、もうかれこれ4ヶ月も続いていることになります。

洪水の原因となっているチャオプラヤ川は、全長372キロもあるのに、高低差はわずか25メートルという超なだらかな川です。 わかりやすく換算すると、1km進んで、6.7cmしか下がりません。 100メートルなら0.67cmです。 しかも高低差のほとんどは上流域ですので、下流ではほぼ田んぼのように水平です。 これではで水が流れません。 

またチャオプラヤ川の流域面積は16万平方キロメートルと、日本最大の利根川の10倍もあります。 つまり、川の下流域は大きなデルタ地帯だといえます。

夏のオープンキャンパスに、たまたま日本に来ていたタイ人研究者に、タイの紹介をしていただいたことを覚えていらっしゃいますでしょうか? こちら 実は、彼女たちともメールで連絡が取れません。 聞くところによると、命に別状はなく、回線が水没したのかも。 被災された方には、誠にお気の毒です。

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今やタイはアジア有数の工業国。 身近なところでは、日本で走っている現行型の日産マーチは全車タイ製です。 またホンダなど、ほかの自動車会社もタイに工場を持っており、洪水による減収額は2500億円規模になるそうです。 またパソコンなどのハードディスクの半分以上はタイで作られ、ニコンやソニーのデジタル一眼カメラもタイ製産です。 キヤノンの損害額も500億円だとか。 また食料品では、エビや砂糖の国際価格が上昇しています。 

こうしてみると、今年は本当に水難の多い年です。 地震はともかく、タイの洪水は地球温暖化の影響でしょうか。 こうした艱難も、人類の知恵と叡智で乗り切っていくしかありません。 
by seimei-eiyou | 2011-10-27 19:12 | その他